ディーター・ラムス、80歳の誕生日を記念して。
この機をとらえ、ラムスとヴィツゥは、1976年の12月、ニューヨークにおいてラムスが行ったスピーチ『Design by Vitsœ:ヴィツゥによるデザイン』の講演録を公開することとしました。

20世紀を代表する、最も影響力の大きなインダストリアル・デザイナーの一人であるディーター・ラムスは、来る5月20日に80歳の誕生日を迎えます。この機をとらえ、ラムスとヴィツゥは、1976年の12月、ニューヨークにおいてラムスが行ったスピーチ『Design by Vitsœ:ヴィツゥによるデザイン』の講演録を公開することとしました。それは、来るべき時代をはっきりと予見し、デザインのあり方についての示唆に満ちたものでした。

このストレートで洞察に満ちたスピーチにおいて、ラムスは、「天然資源の不足が顕著なものとなり、それは回復不能である」ことを指摘するとともに、そこでデザインが果たすべき責任について、自身の考えを明らかにしています。優れたデザインは、人間を理解することでしか生まれないと信じるラムスは、私たちを取り巻く環境について、デザイナーの、そして私たちの責任を問います。「私たちが、深い考えももたずに、さまざまなガラクタを、自らの家に、住む都市に、そして国中に満ちあふれさせている今日の状況が、将来の世代に絶望的な思いを抱かせるのではないかと懸念するのです」。

ディーター・ラムスがこのスピーチを行ったのはいまから36年前の1976年、国連が環境汚染と天然資源の枯渇への対策を講ずるためにブルントランド委員会を設置したのはそれから7年後の1983年のことでした。『606 ユニバーサル・シェルビング・システム』に凝縮された、理性的で、先進性に富んだデザインを通じ、ラムスの考えは、このときから世界中に浸透していき、いまでは揺るぎないものとなっているのです。

50年以上にわたりヴィツゥは、ラムスとともに、ながもちし、ライフスタイルの変化に順応でき、時流の変化にも風化しない、そんな家具をつくり続けてきました。「live better, with less, that lasts longer:よりよく暮らすには、ながもちするものを、少しだけ」、ヴィツゥの理念も不変です。

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