Sandy
「デュラセル・バニー」
Sandy の、ヴィツゥでの役割。

文章、写真: Vitsœ

ヴィツゥの従業員の中で、一番勤務歴の長い Sandy Walker。
ニックネームは、「デュラセル・バニー」。

彼女自身もご納得のニックネームの由来は、スタミナ抜群の電池を売りにする、イギリスのデュラセル社のマスコットキャラクターから。 そんな Sandyは、人一倍ちょこちょこ動き周り、面倒見が良く、時々ちょっぴりお節介。

Sandy がヴィツゥのスタッフになったのは、1995年。ヴィツゥが本拠地を、ドイツからイギリスに移した年です。

「私がずっと座っているなんて、みんなの役に立たないじゃない。」

ワークショップでの彼女は、身長の2倍はあるであろうダンボールのパッケージを折り、その姿はまるで、ダンボールと”格闘技”をしているかのよう。

「ワークショップの仕事は、流れ作業。全ての工程が、どれも重要なのです。どんなに小さな作業にも、誇りを持っているわ。いつも、ワークショップを歩いて、全体的な様子を見ながら、必要な作業をリスト化するの。忙しくて、一日中誰も手を付けれないことだって出てある。誰もしないなら、私がする! これが私のモットーなの。」

Sandy は、大学で家具のデザインを学んだ後、ヴィツゥに入社しました。置きっ放しのパレットを元に戻す彼女に入社の経緯を聞くと、手を止め、笑いながら答えてくれました。 「実は私、今まで一度も就職面接を受けた事がなくて。ヴィツゥは、知人に紹介してもらって、働くことになったのよ。」

彼女は彼女らしい方法で、ワークショップにポジティブなエネルギーを運び、チームのモチベーションを引き出します。
「特に大切なのは、皆がプレッシャーを感じている時。こんな張り詰めた空気を変えるには、ちょっとした工夫が必要ね。例えば、暑い日に、アイスクリームを買って差し入れして、チームで一緒に食べたりね。」

始業時間の1時間前、Sandy は誰よりも早く出社し、一日の作業工程の準備をします。時に、ケーキが食べれない人がいれば、その人の為に、リンゴをシナモンで煮たものを家から持ってくることもあるそう。 「食物アレルギーの人に配慮することは、今はとても普通のこと。チーム全員が、朝のお茶休憩を楽しめる工夫が必要よ。」

彼女にとって、大事な仕事のひとつが、毎日のお茶休憩の準備。

この日は、ルバーブのパイと、たっぷりのバターを添えたフルーツブレッドを用意。味見の後、「このフルーツブレッドは、トーストせず、このままの方が柔らかくて美味しいわ。」とのこと。

彼女は、キッチンの壁に貼ってあるティーリスト(ひとりひとりのお茶・コーヒーの好みを書いた一覧表)を見なくても、全員の好みを把握済み。

熱々のコーヒーとお茶を用意し、ワークショップへのエネルギー補給の準備を手際良く済ませていく。
「ワークショップのお茶休憩の時間は、決まって朝の10:30。ちょっと前までは、暖かいお茶とビスケットで簡単に済ませていたけれど、徐々に豪華になってきているわ…」

Sandy の仕事への姿勢は、ワークショップ全体のモチベーションを高める大きな役割を担っています。

「私が中心となって、良い雰囲気を作っていきたいの。これが、全ての作業をスムーズに進めるポイントと考えているわ。誰もが快適に、ベストを尽くせる環境を維持できるように動く、私の使命よ。」

この日の午後、ワークショップを歩きながら、彼女は少し考え込んだ表情でこの様に語りました。

「私のヴィツゥでの役割は、チーム全員がハッピーに働けるシステムを作ること。渦で周りを巻き込んでいくような、シェイカーのようなイメージかしら。私は自分の好きなことをしているだけ。熱中して、一日の作業時間が足りないと感じてしまうこともあるくらい。これって、わたしの性格に、まさにぴったりの役割ってことよね。

ヴィツゥのワークショップは、ひとりひとりの個性や強みを存分に発揮できる場所。会社やチームの為になるのなら、個人を縛る細かなルールはありません。まさに、ヴィツゥらしいと言えるポイントだわ。」